だいたいわかるぞ中国語

まったくのシロウトでも漢字を知ってりゃここまでわかる!!毎日のニュースを“眺めて”だいたいわかるようになろう!

2013年10月

中国語のニュースを見ていてよく思うんです。漢字が読める日本人なら、中国語の知識が豊富じゃなくても基本的なことさえ抑えれば、たいていの文章の大意はつかめるんじゃ? 

現代中国の事情がみえてくるニュースを楽しく読みながら、なんとなく少しずつ中国語がわかるようになる!?文法とかそういうことはとりあえず考えないで、ニュースを“眺めて”みませんか? 

優秀な女子大生 不採用の理由とは……

今日は、ある女子大生の不条理な体験に関するお話です。

広州のニュースサイト「南都網」の記事です。

今日の見出し

キーワードは2つです。

「饭局」 「被淘汰」

さてどういうことでしょうか。

「饭局」(飯局)
「会食」「宴会」のことです。

「被淘汰」
「淘汰される」「不合格になる」

簡体字と日本語の漢字を見比べてみましょう。

「进」 「進」
「业」 「業」
「终」 「終」
「极」 「極」
「试」 「試」
「饭」 「飯」

では、見出しの中身をみていきましょう。

「女大学生进企业终极面试:饭局未喝白酒被淘汰」
「女子大学生の企業最終面接 宴会で白酒のまず不合格に」
「进企业」(進企業)「企業に入る」
「终极面试」(終局面試)は、「最終面接」
「未喝」は、「飲まない」

さて、はじめに断っておきますが、この女子大生は「女子」だから面接に不合格になったわけではないということです。どうやらあくまで白酒を飲まなかったから……。

この企業というのは有名な通信関係の大企業だということです。600人の学生が応募した就職試験で、筆記を突破し、一次面接、二次面接、三次面接を優秀な成績で突破し、最後の7人に残った女子大生が、四次面接後の直後の昼食会で出された白酒を飲まなかったために、不合格になったというお話です。

企業で予定されていたポストは営業職で、面接ではそれを想定したさまざまな難問が出題され、それを潜り抜けてきただその女子大生でした。しかし、親から「女の子が白酒を飲むのは賛成できない」と言われていたのと、飲みたくなかったので「むかし、胃炎を患ったことがあって白酒は飲めないんです」。うまく断ったはずだったのですが……。

待てど暮らせど連絡が来ないので自分から問い合わせると「営業職は酒の席も多い仕事なので、白酒は飲まないわけにはいかないのです。あなたには向いてないと思う」と言われてしまったのです。

不合格の理由はともかく、日本では、学生が問い合わせてもなんで不合格になったか「お答えいたしません」というのが普通なので、説明してくれるということにちょっと驚いてしまいました。そういう率直さというか、妙にもったいつけないと透明さは、中国のいいところなのかもしれません。 

ところで、この記事のなかで印象的なのが、件の昼食の場面では、7人の学生がそれぞれ漫才やコントをやって場を盛り上げたり、歌をうたったりとまるで接待の予行演習のような状態で、それを中国の学生が一生懸命やるようすが描かれていてちょっと驚いてしまいました。彼らはそういうことはしないものだと思っていたので。

さらに、女子大生が白酒を理由に落とされたことがわかった後、学生寮でそれでも飲むべきか飲まざるべきか大議論が巻き起こったこと。「体を壊してまで会社に尽くすことはない」という女の子がいる一方で、やっぱり「そのくらいはしないと」という雰囲気も濃厚なのです。不合格になった本人も、「次回からはもっと柔軟」に対応して、「宴会の作法」を考えて「場がしらけないようにしたい」と言っていて、やはりそれだけ就職活動が厳しいのだろうなと思わずにいられませんでした。

記事では最後に専門家がアドバイスを与えています。
たとえ飲めなくても断り方には技術があるし、飲まなくてもサービスに徹するなど立ち回る方法はいろいろある。とにかく相手の気分を損ねないようにうまくやることを考えておくことだ……。

日本でもこんな感じなんでしょうか?
がんばれ就活生……。

感動を呼んだ13歳の少年のある行為

今日のお話の主役は、13歳の少年です。

上海の夕刊紙「新民晩報」の記事です。

今日の見出し

キーワードは2つです。

「扶起」 「榜样」

日常的な言葉なので逆にわかりにくいかもしれません。

「扶起」
「助け起こす」という意味です。

「榜样」(榜様)
「手本」「模範」という意味です。

簡体字と日本語の漢字を見比べてみましょう。

「岁」 「歳」
「样」 「様」

では、見出しの中身をみてみましょう。

「上海一13岁少年扶起倒地老人成榜样」
「上海の13歳の少年が倒れた老人を助け起こして模範学生に」
「倒地」「地面に倒れる」ということです。

上海の中学2年生の劉君は、月曜日の朝礼のときに全校生徒の前で最近体験したあることを理由に褒められました。目の前で倒れた高齢者を助け起こし、怪我などがないことを確認して家族に引き渡すまで付き添ったというのです。

その高齢者は脳卒中のために体が不自由な60歳の男性で、その日は外を歩いていた際にすぐそばをバイクがすり抜けていったのと、地面の凸凹に躓いたのとで、あおむけに倒れてしまったのだといいます。口もきけないほど動揺していたその男性を、劉君はやさしく介抱して送っていったといいます。

two
劉君に直接お礼を言う男性

男性の家のそばまで行ったときにご近所さんが気が付いて家族を呼んでくれたので、劉君はその家族の到着を待って、元々向かっていた書道教室に走っていったのだとか。遅刻したそうですが。

男性のご近所の人たちが劉君の自然な親切に感激して、学校に「いい生徒さんを育てていらっしゃいますね」とお礼の手紙を出したことから、朝礼で褒められることになったのです。

中国ではこのところ、困っている人を見かけても助けるかどうか迷うという風潮が広がっていて、そのため助かった命も助からない……というような事件がたびたび起こっています。車にはねられたまま放置されて最終的に亡くなった2歳の女の子や、最近では北京で大通りの歩道の柵に首を挟まれた人が放置され、助け出されたときはすでに手遅れだったなんていう事件も起こっています。

他者への無関心も問題なのですが、それだけではありません。以前、事故に遭った高齢者を助けた若者が、その高齢者から訴えられ賠償金を求められるというトンデモナイ事件が大きく報じられ、たくさんの人たちがそうしたとばっちりを食いたくないと考えてしまうようなのです。

そういう風潮があるからこそ、今回の劉君のようなケースが大きく取り上げられてしまったりするのです。中国では過去に、バスの車掌さん(社内で切符を売ったりするのです)のサービスが優れているからと英雄視されたこともあったのです。そのくらい、バスの車掌さんがひどかったわけです。

まだ13歳の劉君は、80歳の母方のおじいちゃんに育てられ、いまもおじいちゃんと暮らしているといいます。損得など考えず、困っている人は助けなければと倒れた男性に自然に手を貸したのに違いありません。このままあまりいじられず、素直に育ってほしいものだと思います。

真相は明らかになるのか?

今日は、昨日から話題になっているニュースを取りあげてみました。

広州のニュースサイト「南都網」の記事です。

今日の見出し

キーワードは2つです。

「吉普」 「撞」

どんな意味なのか想像してみてください。

「吉普」
「ジープ」です。某放送局では「四輪駆動のSVU車」と説明していましたが、つまるところ「ジープ」です。最近は以前ほどの人気はないんじゃないかと思いますが。

「撞」
「ぶつかる」

簡体字と日本語の漢字を見比べてみましょう。

「门」 「門」
「桥」 「橋」
「护」 「護」
「栏」 「欄」
「车」 「車」

では、見出しの中身をみてみましょう。もうおわかりだとは思いますが。

「一吉普撞天安门金水桥护栏后起火 车内3人死亡」
「1台のジープが天安門金水橋のガードレールにぶつかって発火 車内の3人が死亡」
「金水桥」(金水橋)は天安門の前の橋。
「起火」「火が出る」「火事になる」「怒る」という意味もあります。

ことの次第は日本でも報じられているのでご存じだと思います。昨日の正午ごろ、故宮の東側の道を南下して長安街に右折した1台のジープが、天安門の正面付近の歩道に突っ込んで炎上したのです。

載っていた3人は死亡。周囲にいた人たちに多数の負傷者が出ましたが、その後、怪我人のなかに日本人男性がいること、死者が5人になったことなどが発表されました。

fire


しかし、事件の詳細はいまだ闇のなか。明らかになることはないんじゃないですかね。

天安門は飛行機でも降りることができるような広くてまっすぐな道です。右折してきたばかりとはいえ、運転の手元が狂うなんてことあるんでしょうか。爆発音を聞いたという証言もありますが、ガードレールにぶつかったくらいで車内の3人全員が死亡するようなことになるもんなのでしょうか?

テロだ、抗議活動だと見る人は大勢います。テロや抗議活動を起こす可能性がある人や、そこへいたる理由は、ありすぎるほどある。だからそれは推測というより確信に近いものだと思います。ただ、具体的にだれが何のためにこれをやったのかがわからないだけで。

写真を見ると、事件の現場は建国の父、毛沢東の肖像画のすぐ下あたりのように見えます。この肖像は定期的に取り換えられているらしいのですが、昔、中国の新聞でこんなエピソードを読んだことがあります。初期のころの肖像画の毛沢東は、少し斜め前を向いていたのだそうです。しかし、その絵に物言いがついたのです。毛沢東の肖像は両方の耳が見えた状態であるべきだ、というのです。みんなの意見を公平に聞くのが毛沢東であり、片方の耳しか見えていないとな何事だ!と……。

両方の耳が描かれ、公平に「民」の声を聞いているはずの毛沢東の目の前で、彼らはいったい何を訴えたかったのでしょうか。

あの人たちは月に1万元稼いでいる!?

今日は、またもやすごく短い記事ですが興味深い内容だったので取り上げてみました。

広州のニュースサイト「南都網」の記事です。

今日の見出し

キーワードは2つです。

「职业」 「乞丐」

簡単なような、難しいような単語です、どちらも。

「职业」(職業)
「プロ」という意味です。「プロの○○」というときは「职业○○」となります。例えば「职业足球选手」と言えば「プロサッカー選手」という意味になります。

「乞丐」
日本語ではすでに“使っちゃいけない言葉”になっていますが「乞食」です。「物乞い」と言えばいいでしょうか。

簡体字と日本語の漢字を見比べてみましょう。

「职」 「職」
「业」 「業」
「铁」 「鉄」
「达」 「達」

では、見出しの中身を見てみましょう。

「警方:上海职业“地铁乞丐”达200人 大多月入上万」
「警察発表 上海のプロの“地下鉄乞食”は200人 多くは月収が1万元に達する」
「大多」「大部分」「大多数」という意味です。
「月入」「月収入」の省略形で、「月収」です。
「上万」「1万元に届く」「1万元に達する」という意味です。

ほんとうに短い記事なので、こっそり翻訳してしまいます。

「上海警察の通達によれば、今年に入ってから捕えた地下鉄の物乞いは延べ3万2500人で、5600人が行政処分を受けている。現在、上海のプロの地下鉄物乞いはおよそ200人で、高齢者や身体障害者が中心。うち20人余りの収容回数は延べ100回以上だ。上海起動交通倶楽部は、地下鉄の物乞いは金銭に困っているわけではなく、金銭をだまし取ろうとしており、大多数は月収が1万元に達しているので、金銭を渡さないようにと注意を呼び掛けている。」

私、上海で暮らしたこともあるのですが、当時、職場と自宅が歩いて10分の距離だったのであまり地下鉄には乗りませんでした。だから、地下鉄の物乞いの記憶はほとんどありません。ですが、北京では今も地下鉄に乗るたびに物乞いに遭遇します。

強烈なのは、歌う物乞いです。地下鉄に揺られていると、どこからともなく大音量の歌が聞こえてくるんです。たいていはこう、うまいこと哀れを誘うようなメロディの歌です。ポータブルのマイクセットの音量はきっとマックスだと思います。残念ながらお世辞にもうまいとはいえない歌が、さらに音割れしています。歌の合間に「ご乗車のみなみなさま、哀れな物乞いにどうかお恵みを……」的なアナウンスが入るのですが、聞かされているこちらは「お金を出してもいいからどうか黙ってほしい」と思わずにはいられません。

これが、たいていは2人組みとかできます。目が見えないオジサンが歌手で、その妻らしき女性がお金を集める入れものを持って夫を誘導してくる……的な構図です。そして、もう人が通る余地などないほど混雑した時間帯にもやってきます。ギュウギュウ詰めの乗客の間を、無理矢理突進してくるわけです。例の爆音が近づいてくると、みんなあからさまに窓の外に目をやって、歩いてくる物乞いと目を合わすまいとします。

以前、パリに旅行に行ったとき、やはり地下鉄で物乞い(?)の人たちに遭いました。しかしこちらは、いきなり素敵なジャズの演奏が始まって、一瞬何かのお祭りかと思ったくらいいい演奏でした。しかし、集金の人たちが回ってきたときの私の周りの地元民の人たちの反応は、北京の地下鉄でへたくそな歌を聞かされた地下鉄の乗客たちと同じ反応でした。いい演奏に結構いい気分にさせてもらったので、一瞬払ってもいいなあと私は思ったのですが(笑)。いや、本当にお金出してもよかった。ミュージシャンの卵なのかなと……いや、そのわりにトウが立ってたかな。

やっぱり、雑音を振りまいてお金を払えっていうのは許せません。あんなんで月収1万元だなんて、苦労してる若者たちが怒るよ。

今年の冬は少しだけ安心?

今日のお話は、急に寒くなってきた今の時期にぴったりの話題ではないかと思います。

上海の夕刊紙「新民晩報」のニュースサイトの記事です。

今日の見出し

キーワードは2つです。

「病毒」 「疫苗」

何のお話かもうわかっちゃいますよね。

「病毒」
「ウイルス」です。PCのウイルスなども同じく「病毒」です。ちなみに細菌は同じく「细菌」(細菌)です。

「疫苗」
「ワクチン」です。PCのウイルスの対策ソフトのことも「疫苗」といったりします。

簡体字と日本語の漢字を見比べてみましょう。……と思ったら、今日は簡体字なかったです。

では、見出しの内容を見てみましょう。

「我国科学家研制成功H7N9病毒疫苗株」
「中国の科学者がH7N9ウイルスのワクチン株開発に成功」
「研制」「研究して製造する」「開発する」です。

H7N9は、いわずと知れたインフルエンザ。最近は型がいろいろあるのでどれだっけと思ってしまいますが、中国で発生した鳥インフルエンザで、人感染が検出されたウイルスです。今月に入ってからも2にtんの感染者が出ており、すでに45人の死亡者を出しています。

杭州で、そのワクチンが世界で初めて開発されたのだそうです。すでに、生産のためワクチンメーカーに提供しているとか。

これまで中国ではインフルエンザワクチンはもっぱら輸入していたのですが、今回初めてワクチン株から自国で生産することができたのだそうです。

短いニュースですが、ワクチンができればこの冬のこの種のインフルエンザへの恐怖感は少し軽減されますね。

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プロフィール

ゆーず

【仕事】文章を書くこと。考えること。
【特技】中国語。翻訳できます。
【特徴】中国でながいこと暮らしていた。
【出身】くまモンの熊本県。

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