今日もなんとなく中国語を眺めて、なんとなくわかりましょう。
今日は、このところ台湾を騒がせていた問題に関するお話です。
ニュースポータルサイト「網易」の記事です。
今日の見出し
キーワードは2つです。
「无法接受」 「由」
よく出てくる言葉なので、覚えておくと役にたつことがあるかもしれません。
「无法接受」(無法接受)
「受け入れられない」という意味です。
分解すると、「無法~」は「~する方法がない」「~しようがない」という意味で、「接受」は「受け入れる」という意味です。
「由」
「~によって」という意味です。「由~○○」という形で、「~によって○○する」という風に使われます。
簡体字と日本語の漢字を見比べてみましょう。
「马」 「馬」
「无」 「無」
では、見出しの中身を見ていきましょう。
「马英九:无法接受“台湾前途由全中国人决定”」
「馬英九 “台湾の前途は全中国人によって決定する”は受け入れられない」
「马英九」(馬英九)は、ご存じかもしれませんが、いまの台湾の総統、トップです。
6月25日から28日まで、中国大陸の国務院台湾事務弁公室の張志軍主任が訪台していました。少し前に、中国当局から台湾のもろもろのことは「全中国人が決めるべきだ」と発言したことから、中国への反発が高まる中での訪台でした。
日本でも報じられているように、張さんはペンキを投げられたり「台湾の前途はあんたとは関係ない!」という横断幕などによる抗議運動に遭ったり、容易な訪問ではなかったことは明らかです。もちろん、友好ムードは演出されていたようですが。
ところで今の馬英九政権は、3月のサービス貿易協定をめぐる学生たちによる立法院占拠など、相次いで難しい局面を迎えていますが、なんといっても支持率が低い(10%切っているとか…)。なんとか人気を盛り返せないかと思っているようですが、経済のためにと中国と関係を深めると、相手方は「全中国人が…」というような発言で馬さんの評判をさらに落とすようなことをしてくれる。気の毒な限りです。
東京国立博物館で始まったばかりの故宮博物院の展示に関しても開催直前になって、「『国立』が抜けている」「展示を中止する」などと日本に対して強硬な姿勢で臨んでいましたが、台湾では必ずしもこのやり方に賛同する人ばかりではなく、却って「人気取りか」「中国には下手に出るのに、日本には強気なんだな」という具合に皮肉というか逆に批判が噴出、結局は天に向かって吐いた唾するような結果を生んでしまったという……。
とはいえ、そういう馬さんも言うことは言ってるらしいことがこの記事では紹介されています。「網易」が紹介した中国の強硬派メディアとして知られる「環球時報」のニュースサイト「環球網」の記事で、米国の「フォーブス」誌のインタビューを引用しています。
馬さんはこの取材に応えて「大陸は多くの人力、物力を割いて台湾を研究し、人を派遣し、いかにして大陸は脅威ではないことを受け入れさせようかとしているようだが、まだまだわかっていらっしゃらない」という風に言っているのです。
馬さんはこの取材に応えて「大陸は多くの人力、物力を割いて台湾を研究し、人を派遣し、いかにして大陸は脅威ではないことを受け入れさせようかとしているようだが、まだまだわかっていらっしゃらない」という風に言っているのです。
つまり、先にあげた「全中国人民で決定する」云々の発言、あんなことをやっていてはうまくいくものもいかなくなるじゃないかと、これはまあ恨み節といっていいんじゃないでしょうか。「そこんとこ、大陸側はどうしてわかってくれないんだろうか」というわけです。
「(大陸が台湾にとって脅威ではないと感じさせることは)決して不可能じゃないけれど、彼らはもっと勉強する(宿題をする)必要がある」
日本の政治家が中国や台湾の国情などを読めずに妙なことをやってしまうことがしばしばで、「あーもー、空気読めないなあ」とイライラすることがありますが、何のことはない。なんとなく、日本と中国よりも、言葉がだいたい同じとか、いろいろなところで共通点が多そうな中国と台湾の間でも、お互いすれ違っちゃうんですね。「理解する」ことのむずかしさを肝に銘じなくては……。
日本の政治家が中国や台湾の国情などを読めずに妙なことをやってしまうことがしばしばで、「あーもー、空気読めないなあ」とイライラすることがありますが、何のことはない。なんとなく、日本と中国よりも、言葉がだいたい同じとか、いろいろなところで共通点が多そうな中国と台湾の間でも、お互いすれ違っちゃうんですね。「理解する」ことのむずかしさを肝に銘じなくては……。
ところで、見出しはあんな風ですが、本文では「受け入れられない」とか「台湾のことは台湾が決める」というようなことは一切出てこないんです。そこはまあ、大陸で出ている記事だからでしょうか。ただ、おおもとになったフォーブスのインタビューでは「受け入れられない」とはっきり言っています(リンクをつけたページの一番最後に言及しています。ハーバード出の馬さんはインタビューにも英語で答えたんですかねえ)。
台湾では11月末に地方の首長や議会の議員を選ぶ統一地方選挙が行われることになっています。馬さんが率いる国民党に対して国民はどのような審判を下すかが、次の総統選挙にも影響してくるのではないかとみられています。
馬さんの運命やいかに。
馬さんの運命やいかに。