今日もなんとなく中国語を眺めて、なんとなくわかりましょう。

今日は、中国ならではの行列のお話です。

北京の朝刊紙「新京報」のサイトの記事です。

今日の見出し

キーワードは2つです。

「排队」 「名额」

ニュース以外でもよく出てくる単語が含まれています。

「排队」(排隊)
「列に並ぶ」「順番を待つ」という意味です。発音すると「パイドゥイ」という感じの音になります。
ちなみに、列に並ぶときに困る「横入り」「割り込み」のことを「插队」(チャードゥイ、挿隊)といいます。この間、美術館の列に並んでいて「插队」されて思わずその人を指差して叫びそうになりましたが、思いとどまりました。

「名额」(名額)
「定員」「枠」という意味です。

簡体字と日本語の漢字を見比べてみましょう。

「队」 「隊」
「抢」 「搶」
「儿」 「児」
「园」 「園」
「额」 「額」

では、見出しの中身を見てみましょう。

「七旬老人排队五天抢幼儿园名额」
「70代の老人が幼稚園の枠をもぎ取るために5日並ぶ」
「七旬」「70代」という意味です。
「五天」「天」は日数を数える時に使う数詞で、「日」にあたります。
「抢」(搶)「奪う」「我先に争う」というような意味。

日本でもいろんなものに行列する人がいますが、今日の記事は、北京市で幼稚園の入園申込み5日前から行列ができてしまったというお話です。

見出しだけみた時は、何か特別な授業をやっている幼稚園だから人が集まったのかと思ったのですが、どうやら今回は違うようです。

この幼稚園の新規募集の定員は100人だそうですが、並んだ人たちは幼稚園の「中身」に惹かれてやってきたというより「バスを乗り換えたり、車を運転したりしなくても通える便利な幼稚園だから」という理由で集まってきたようです。

子供の誘拐が多い中国では、小学校になっても子供の送り迎えは必須なのですが、幼稚園であればもちろんのこと。そしてそういう仕事は多くの場合、おじいちゃん、おばあちゃんの担当となるわけです。おじいちゃん、おばあちゃんにしてみれば、よほど何か特別な要求がないのであれば、通うのに便利な方がいいわけで。大雨の時でも近所なら送り迎えにそれほど骨が折れることはありません。

それでここ数年は、申込みが始まる数日前から行列する人が出るようになったらしく、これまでは3日3晩というのが最高記録だったのだそうです。今年も、近所のお年寄りが「いつから並ぼうか」なんてことを立ち話で話したりもしていたのが、申込み日の5日前になってあるお年寄りが長椅子を持ってきて並び始めたことから、その後の数時間であっという間に100人以上が行列したといいます。

そりゃあもう、1人が並んでしまったら後の人も早く並ばないとあぶれてしまうわけですから。

北京はこの時期、昼間はすでに30℃を超える日が多くなっています。スイカもおいしくなってくる、「初夏」の季節。とはいえ日によっては風が強くて夜などは寒さを感じることもあったそうですが、家族と交代したり、長く一緒にいて仲よくなった同士で荷物の見張りをしたりしながら、5日間を耐え抜いた人たちが、23日にめでたく申込みを終えたそうです。

もちろん、幼稚園側は事前に、行列を100人までにしてそれより後ろの人には「並んでも無駄ですから」と声をかえたようです。

申込みを終えても、まだ身体検査などをパスしなければ正式に入園できることになるわけではありませんが、5日間を共に戦った人々は、勝利の雄叫びを上げたと上げなかったとか……。