今日もなんとなく中国語を眺めて、なんとなくわかりましょう。

FIFAの汚職問題が大きなニュースになっている時ですが、今日はサッカー関連のゴシップです。

中国の電話会社「中国電信」によるニュースサイト「21CN」の記事です。

今日の見出し

キーワードは2つです。

「假球」 「意大利」

何の話かは予想がついたのですが、実はこの単語ノーマークでした。なんでだろう……。

「假球」
「(球技の)八百長試合」の意味です。球技以外も含めてもっと一般的には「假比赛」と言います。「比赛」「ゲーム」「試合」の意味です。

「意大利」
「イタリア」です。日本語ではイタリアは漢字では「伊太利」と表記され、「伊」と省略されることも多いですが、中国語では省略すると「意」になります。

簡体字と日本語の漢字を見比べてみましょう。

「韩」 「韓」
「假」 「仮」
「确」 「確」

では、見出しの中身を見てみましょう。

「韩日世界杯假球确定 韩国受益意大利成受害者」
「日韓W杯の八百長が確定的に 韓国が利益を得、イタリアが被害者に」
「世界杯」「ワールドカップ」です。まんまですね。
「受害者」「被害者」の意味です。

13年前、2002年のサッカー日韓W杯の話を、なんで今頃蒸し返すんでしょうね。

いや、イタリアがいまもあれを恨んでいるのはよくわかるんです。元記事もイタリアメディアですから。しかしそれを、なんで中国メディアが使うんだか。

 wc

じつは当時、私は上海に住んでいました。あの試合のことは覚えています。友人と夕飯を食べている最中で、小さなテレビで放映していたのを遠目に見ただけなので、試合についてはちゃんと見たとはとても言えない状況なんですが。

韓国がイタリアに勝利した瞬間、隣のテーブルでビールを飲んでいた欧米人のお客さんが、「おめでとう」って感じで私に目配せしてくれたのに、どう反応すればいいのか非常に慌てたこと(同じの日の午後に日本は敗退が決まっていたので、ちょっと複雑な気持ちでした)、それから翌朝会社に行くと、中国人の同僚たちから「日本は偉い!韓国はクソだ!」と妙な称賛を受けてこれまた複雑な気持ちになったことを、よく覚えているのです。

中国人の同僚たちがなぜ日本人を褒めたのか? 「正々堂々と戦って敗れたから」だと言うのです。中国ではあのイタリアと韓国の試合、どうみても八百長に見えたというわけです。サッカーファンが多い中国では、イタリアの試合をもっと見たかったというファンも多かったのだと思います。

ああそれと、忘れていましたが韓国代表は、イタリアの後にスペインを破ってベスト4に進出したんですね。そのスペイン戦についても八百長だと記事では書いてます。その試合、見てないんでなんとも言えませんが……ネットにはいろんな情報がありますね。

あの大会、日本と韓国が開催国枠で出たこともあって、中国代表もW杯出場を果たしたんですよね。大きな期待を背負って出場した中国代表はしかし、まったくまともな試合ができず、っていうか出場しただけでもかなりすごいと思うんですが、轟轟たる非難を浴びていました。同じ東アジアの隣国である日本と韓国に対する期待は小さくなかったんだと思います。

そういうわけで、中国のサッカーファンたちの記憶にがしっと刻みつけられたあの事件、やっぱり取り上げずにはいられなかったんでしょうね。

ちなみに記事を読む限り、見出しで「八百長確定」なんて言っているわりに、新たな証拠もなにもあがっていません。まったくの拍子抜け。イタリア語わからないので、イタリア語の記事の原文がどんなものかはわかりませんが、もう一度あの悔しさ、情けなさを蒸し返しているだけという感じ。やっぱりFIFAトップの汚職、腐敗でごちゃごちゃしているからこそ出てきた記事なのかなあと勘ぐってしまいます。