明けましておめでとうございます。
 
本年もよろしくお願いいたします。

なんと昨年は更新回数わずか1回!! 今年はもう少しまじめに更新するようにがんばります。

というわけで、今日もなんとなく中国語を眺めて、なんとなくわかりましょう。

今日は、映画のお話。近日、日本でも公開予定の映画がタイトルになっています。

上海の夕刊紙のニュースサイト「新民網」の記事です。

今日の見出し

キーワードは2つです。

「内地」 「票房」

どちらも中国ではよく使われる言葉ですが、日本ではなじみがないかも……。

「内地」
日本語にも「内地(ないち)」という言葉があります。かつて植民地を持っていたころに、本国の外である植民地に対して使っていた言葉ですが、いまでも北海道や沖縄の方々は本州、四国、九州のことを「内地」と言ったりするみたいですね。しかしながら、中国語では「中国本土」、いわゆる「中華人民共和国」のうち香港、マカオ(そして台湾)などを含まない部分のことを指して使われます。

「票房」
「興行収入」のことを言います。ここでは映画の興行収入の話です。
「票」が「チケット」、「房」は「部屋」の意味。英語でもチケット売り場を指す「ボックスオフィス」がそのまま興行収入を意味する言葉になっていますが、そっちから来たんでしょうか。

簡体字と日本語の漢字を見比べてみましょう。

「亿」 「億」
「鱼」 「魚」
「夺」 「奪」

では、見出しの中身を見てみましょう。

「2016内地票房定格457亿 《美人鱼》夺冠」
「2016年中国本土映画興行収入は457億で確定 『人魚姫』がトップに」
「美人鱼」は「人魚」のこと。単に「人鱼」ともいうようです。っていうか、人魚は美しいと決まっているのか……。
「夺冠」は「冠」を「奪」で「優勝する」「トップになる」という意味。ちなみに優勝は「冠军」(冠軍)と言います。





今回の統計を発表したのは中国の「国家新聞出版広電総局電影局」です。ちなみに「広電」というのは「广播(広播)=ラジオ」「电视(電視)=テレビ」のこと。テレビラジオを管轄する部門が映画も管理してるってわけですね。

日本では、国家が映画の興行成績を発表するなんてことはまずありませんが、なにせ中国では映画を含めたメディアはすべて共産党の喉と舌であり、党の指導のもとに活動しているわけですから、最も把握しているのは国ってことになるんでしょうか。なんて。

もちろん、すべてがプロパガンダをやっているわけではなく、メディア人にしても映画人にしても、大部分はいかにして規制をかいくぐってその中で自分の表現したいことを形にしようかと、日々戦っているわけです。

と、話はちょっとそれましたが、2016年の中国本土の映画の好業成績は457億1200万人民元(約7800億円)で、前年比16億4300万元(3.73%)増だったそうです。都市部での動員数は13億7200万人で同8.89%増。中国のすべての国民が1回は映画を見に行ったくらいの数字になったわけです。

すごいなーと思ったら、どうやらそんなことはないようで、過去5年にわたって毎年30%以上の成長を続けていたのが、昨年は一気に1ケタ成長に落ち込んだのだそうです。

そのなかでトップになったのが、日本でも1月7日ごろから公開になるチャウ・シンチー監督の『人魚姫』。このほか、映画『西遊記 孫悟空 vs 白骨夫人』とアメリカ映画『ズートピア』がトップ3だったということです。

じつは私、チャウ・シンチー監督のファンで、かつて香港まで会いにいったこともあるんです。中国本土に行ってからはあんまり彼の作品を見てないんですが、今回は再びかれの真骨頂(彼自身は出てないようですが)という感じの作風で、楽しみです。

いやそれにしても、キーワードでも説明しましたが、「人魚」の中国語が「美人魚」とは。いや、だって、不細工な人魚だっているじゃないですか。たぶん。ファンタジーだからいいのか!?

でも、中国語ってそういうところちょっとあるんですよね。

ロボットの中国語が「機械人」だったり。アトムの影響とかもあるのかもしれませんが、ロボットは人型とは限らないのに!!とこの文字を見るたびにむずむずします。

そうそう、人気だったという『西遊記 孫悟空 vs 白骨夫人』も、みたかったんですよねえ。中国本土で西遊記を実写化すると、どうしてもサルはとってもサル、豚はとっても豚になって、日本のテレビドラマ『西遊記』(堺正章バージョンのファンですが)で育った世代としては、とても違和感があったんです。しかし、この映画は香港で撮られているせいもあるのか、そういうところを脱していて、しかも大女優コン・リーが白骨夫人を演じていたりしてなんかいい感じでした。

 

上映は終わってるけど、どこかで見られるかなあ。

ちなみに、『人魚姫』も『西遊記』も日本で公開される字幕版は広東語バージョンです。そっちのほうが、音がポンポンとリズムよくて笑い安いかもしれません。「内地」の役者さんも多いので、広東語のセリフも吹き替えられた部分が多いのでしょうが。

中国本土での上映では間違いなく前篇、北京語発音です。